イギリス大学院出願その3

2015年7月から8月にかけて、イギリス・ベルギー・オランダを訪問しました。

 主な目的は、英国ノーザンブリア大学での国際認知言語学会参加および、ベルギーのアントワープ大学で行われた国際語用論学会での研究発表です。そのついでに、イギリスの大学を見学するまたとないチャンスでした。そこで、2014年から願書を送りOfferをもらっていた大学を見学することにしました。大まかな旅程は、


ロンドン(ロンドン大学)→ニューカッスル(国際認知言語学会)→バーミンガム(バーミンガム大学・ウォーリック大学)→ベルギー(国際語用論学会)→オランダ・ロッテルダム→ロンドン(ロンドン大学)


というような感じで移動しました。語用論学会での発表もあったので、精神的には少々キツイ旅となりました。それぞれの大学の印象を書いておきます。


1.King’s College London (KCL)

 ロンドン大学の中でも2番目に古い大学で、テムズ川の南北にキャンパスがあり最寄駅はウォータールー駅・テンプル駅等です。ロンドンアイや国会議事堂・ビッグベン、テートモダン、セントポール大聖堂、タワーブリッジ、ロンドン塔などが近くにあります。立地的には最高の場所です。

 実際には、2015年の2月の段階で、defer(Offerの1年先延ばし依頼)をしておいたのですが、2016年になっても新たなOfferが来なかったため自然消滅しました。


2.バーミンガム大学

 ロンドンから電車で1時間半ほどのところにバーミンガム市があり、英国第2位の規模を誇る都市とのことです。しかし、実際の街の感じは日本でいえば「中規模な地方都市」といったところです。正直な話、これが英国第2位の規模?!と思ってしまいました。(まぁ、日本との人口の差もありますし、、、こんなものかも)

 大学はいわゆるRed Bricks Universityの一つに数えられ、非常に美しい外観の建物と中央に配された時計塔がひときわ目立ちます。キャンパスは広大で、歴史を感じさせます。こちらの言語学部は私の興味に合っていたのですが、いろいろ考える中で後述のIOEに軍配が上がりました。しかし、純粋な言語学をやるにはバーミンガムの言語学部は魅力的な選択肢だと思います。


3.ウォーリック大学

 バーミンガム市から電車で30分も行かないくらいのところに、コヴェントリー市があります。そこにウォーリック大学があり、50年ちょっとの歴史ながら英国内での大学ランキングは常にトップ10入りする優秀な大学です。ノーベル賞受賞者はまだいませんが、これも時間の問題かもしれません。日本でいえば、筑波大学のような感じでしょうか。特にロースクールやビジネススクールの人気と実力が高いようです。

 キャンパスは非常に広大で、移動には自転車が欲しくなります。私は歩きで移動したのですが、とても疲れました。広すぎます。それと、キャンパスが陸の孤島のような感じで回りに目ぼしい商業施設はなく、レストランやカフェ、ショップ、バーから映画館までかなりの都市機能がキャンパス内にあります。寮もキャンパス内にあるため、自分と向き合いたい方にはおすすめかもしれません。

 私にとっては少し閉鎖的な感じがしてしまいました。行った時期が夏休み期間ということもあり、人はまばらでした。また天気も悪く夕方に行ったので、訪問する時間帯を間違えたかなと、、、ただ、英国研究型大学連合のラッセルグループにも所属していることもあり、研究能力は非常に高い大学だと思います。問題なのは、教育や言語学の分野ではあまり名前を聞かないということかもしれません。(おそらく調べ方が悪いだけだと思いますが)


 2015年夏のヨーロッパ訪問は、ベルギー・オランダを見てからまたロンドンに戻るという旅でした。その話はまたいつかするとして、再びロンドンに戻ってから見学したInstitute of Education (IOE)について書きたいと思います。

 実は、2014年にイギリスの大学院へ出願を始める時、IOEもその候補の一つでした。教育関係の仕事をしていたので、IOEという選択肢はとても自然なものでした。ただ、IELTS7.0というスコアは当時の私にとって非常に高いハードルに思えて、出願を諦めてしまいました。また、その頃の興味関心が言語学にあったため、選択肢から外れてしまったということも言えます。

 実際に見学してみて感じるのは、大学のコンパクトさです。IOEは教育大学院と言われる通り、教育に特化した研究機関です。そのため、キャンパスは狭く(というかビル)、芝生に寝転がって友達と勉強するという海外大学にありそうな環境はありません。しかし、2013年に初めてロンドンを訪れて以来、ロンドンで勉強したい!という強い気持ちから、自分の中でIOEという選択肢が大きくなっていました。街全体がキャンパスという雰囲気や、ほかのロンドン大学の人たちとも交流ができたり、ロンドン大学加盟大学の図書館を利用できたりするといううまみもありました。また、最初にOfferをもらった頃にイギリスの大学について相談したある先生(ケンブリッジ大学で研究されたご経験あり)が、「その他の大学も素晴らしいが、やはりロンドン大学卒ということにはある種特別な意味がある」とおっしゃっていたことが心のどこかに引っかかっていました。そうはいってもネームバリューは無視できない、ということでした。

 ちなみに、「ロンドン大学」という大学はありません。「ロンドン大学連合」と言ったほうがよいです。20近くある研究機関がそれぞれ別々の大学として学位を授与しています。有名どころだと、UCL, KCL, LSE, SOAS, Queen Maryなどがあります。また、Imperial College Londonは2007年にロンドン大学連合から独立しています。 

 そしてIOEはUniversity College London (UCL)と2014年に合併して、UCL Institute of Educationとなっていました。UCLの学部の一つになったわけです。このあたりの細かいことは他のブログやサイトに譲るとして、このことの意味を考えてみたいと思います。UCLといえば、QS World University RankingsやTimes Higher Education等のランキングで世界20位以内に位置する総合大学であり、ロンドン大学最初のカレッジでもあります。ダーウィンが進化論を発表したことで有名で、ノーベル賞受賞者も英国3番目に多い29人(違ってたらごめんなさい)を排出しています。日本からは伊藤博文をはじめとする長州ファイヴや夏目漱石、小泉純一郎氏などが留学していたことでも有名です。このような世界的な大学の一部となったIOEは、私の目には非常に魅力的に映りました。元々教育学分野で高い評価を得ていたIOE(QSのランキングで3年連続世界第1位)ですが、UCLとの合併でその価値をさらに高めることが期待されます。

 このように、ロンドンで学ぶことの魅力が私の中で非常に大きくなっていました。そして、2015年の夏以降、IOEへの出願にチャレンジしてみようと思うようになりました。当時所属していた大学院は最終学年だったこともあり、修論を書かなければならないこと、そして、その年の10月から11月にかけて3つの学会発表があったのですが、そこは気力で何とか乗り越えるしかない!と覚悟を決めました。

 そして、2015年の11月の終わりにIOEへ出願しました。出願は以下の2コースです。

1. MA Applied Linguistics

2. MA TESOL

 結果は、2016年の1月頃MA TESOLから条件付きOfferがきました。条件はやはりIELTSでした。しかも、この年からUCLの基準に完全に合わせなくてはならず、IELTS7.0でかつ全てのパートで6.5以上、というものでした。昨年までは、Writingは6.0でもOKだったのですが、昨年よりも基準が上がっていました。

 しかし、1月末に受けたIELTS for UKVIの結果が基準を超えたことで、無条件合格の可能性が高まり、2月になってMA Applied Linguisticsから無条件合格の連絡が来ました。私の第一志望がMA Applied Linguisticsだったので、この時は非常に嬉しかったです。

 そんなわけで、2016年夏からの留学先として、UCL Institute of Educationを選ぶこととなりました。

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