イギリスのEU離脱

2016年6月23日は、歴史に残る一日となりました。

 ご存知の通り、イギリスの国民投票(Referendum)によって、EU離脱かそれとも残留か、が決したわけです。その結果、イギリス国民はEUからの離脱(Brexit)という選択をしました。細かな数字やその解説などは、多くのニュースサイトや分析がありますのでここには書きません。今回のイギリスのEU離脱が(特にロンドンへの)留学生にどんな影響を及ぼすのか、そんなことを書いてみます。


①学費等への影響

 学費に関して一番大きいのは、「円高」です。世界で何か大事件があると、比較的安定している通貨とみなされている円を買う動きがおきます。そのため今回は、不安要素を抱えることになったポンドを売って円を買う動きが広まり、その結果円高になりました。この点だけを捉えれば、日本からの留学生にとってはかなりのプラスです。イギリスの大学の場合、イギリス人学生及びEU圏からの留学生と比べると、それ以外の国や地域からの留学生には2倍以上の学費が要求されます。ちなみに、UCL Institute of Educationの場合、イギリス及びEU圏外からの留学生の1年間の学費は、15000ポンド以上(!)です。多くの大学がこのくらいの金額に設定しています。イギリス人やEU圏の学生は7000ポンドほどなので、2倍以上違うことになります。こうなると、円高は日本人留学生にとって大きな追い風となります。

 また、今回のEU離脱が決まった後に、UCLはEU圏の学生やスタッフに対して、「現段階では学費等に変更は無い」とアナウンスしています。しかし、今回のEU離脱は長期的にはイギリスの大学に大きな影響を及ぼすと思われます。


②EUからの助成金

 今回の離脱で、EUに加盟していることで得られる助成金がもらえなくなるという問題が近い将来発生するでしょう。オックスブリッジやUCLなどは、EUから年間でかなりの額の助成金を得ており、大学の基礎研究等に役立てられています。この助成金が得られなくなると、大学の研究基盤に非常に大きな悪影響があるといわれているようです。一方で、EUへ負担金を支払う必要が無くなる分、そのお金を大学等に回せばよいという議論があります。しかし、医療費や農林水産業振興への割り当ても検討されるとなると、果たして大学へ正しく分配されるかは未知数です。長い目で見れば、イギリスの大学に及ぼす影響は小さいとは言えず、研究レベルの低下が懸念されます。

 また、EU圏からの優秀な留学生にとってイギリスの大学の魅力が半減してしまいます。上述のように、EU圏からの学生の学費はかなり安くなっている現状があるので、これが変わることになればEU圏からの留学生は激減することになるかもしれません。


③多様性の喪失

 ロンドンは今回の国民投票で、残留支持派が多数を占めた地域でした。バーミンガムは例外としても都市部では残留派が多く、ざっくり言ってしまえば、お金持ち(都市部在住の場合が多い)は残留支持、そうでない人々(地方在住者の多く)は離脱支持だったようです。EUを離脱することになれば、EU内での自由な人とモノの行き来がなくなります。その結果、多様性が損なわれる可能性があります。特にロンドンは非常に多様性に富んだ都市として知られ、それが街の魅力の一つにもなっている(少なくとも私はそう思う)のですが、その多様性が損なわれる可能性があります。ただ、それは何年も後のことかもしれませんし、ロンドンだけは多様であり続けるかもしれません。


 今回のイギリスEU離脱が留学生に及ぼす影響として、以上3点を述べてきました。他にも様々な観点から語ることができるであろう今回のEU離脱。現段階では、「離脱する」ことが決まっただけですので、今後どうなっていくのかは分かりません。このような激動の時にロンドンで留学生生活を送るのは偶然か、それとも必然か、、、

 今後もチャンスがあれば現地リポートしたいと思います。

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